霧島六権現の神社を訪ねています。今回は都城市高崎町の東霧島神社です。
東霧島神社も、ほかの霧島六権現の神社と同じように、性空上人によって再興された山岳信仰の神社です。霧島六権現の神社たちは、霧島連山を取り巻くようにあるのですが、東霧島神社は少し霧島連山から離れています。
霧島六権現の神社は色々と由来やエピソードの多い神社ですが、その中でも東霧島神社は面白い話が伝わっています。
参道を進み社務所を抜けていくと大きな石を積み上げて作った階段が現れてきます。使っている石が随分と大きく、かなり急な勾配です。この階段は鬼が一晩で作ったという言い伝えがあります。その鬼(赤鬼)が階段の入り口に立ちはだかっています。ちょっとばかり愛嬌のある鬼さんです。
言い伝えによるとこんな感じです。
悪行三昧の鬼に困った住民が霧島の神様に相談したところ、鬼たちを集めて「一晩で千個の石を積み上げて階段を作ったら鬼たちの願いをかなえ、出来なかったら追放する」と鬼たちにいったそうな。
鬼たちは、その怪力でどんどんと石段をつみ、焦った神様は鳥たちを集めて泣かしたところ鬼たちは夜明けと思い、完成まであと1個というところで退散したというのです。
だからこの階段は999個の石で出来ているらしい。
神様・・・ちょっとずるい。
登ってみましたが、まぁ、急な階段です。石段の石も大きくて登りにくいです。訪れた日が雨模様だったので、滑りそうになりながら息を切らしてのぼりました。
この石段は「振り向かずの坂」とも言われており、願いごとを思いながら振り向かずに登ると願いが叶うそうです。私は帰りに社務所さんでもらった由緒書きで知ったので・・・何度も振り向きました。次にお伺いしたときは振り向かないようにしましょう。
その階段を上り詰めると神門があり、その奥に拝殿、本殿があらわれます。
煌びやかな塗りや装飾はないですが、杜に囲まれ歴史を感じる本殿でした。拝殿の前には香炉とローソク縦があり数多のローソクが備えられていて、その優しげな炎の揺れと、たなびく線香の煙に「平和」を感じました。あまり、他の神社では見かけない光景ですが、山岳信仰の神仏習合の一つの形なのでしょう。
御祭神は伊弉諾尊(イザナギノミコト)です。この神様の国産みによって日本の国が出来上がったわけですね。国生みのあとに神産みがあり、最後に生まれてきた神様たちの一人が天照大御神、そのお孫さんが瓊瓊杵尊で高千穂峰に降り立った神様です。
伊弉諾尊にまつわる言い伝えもあります。「神石」です。伊弉諾尊が死んだ伊弉冉尊を慕い哀しみの涙で凝り固まったのが神石ということです。神石を「十握の剣(とつかのつるぎ)で切ったという石も境内にありました。大きな石が見事に切れています。ちなみに、その「十握の剣」は東霧島神社の社宝だそうです。
色々な言い伝えを残し、今もなお山岳信仰の趣を残している東霧島神社でした。いかれる際は是非、「振り向かずの坂」を登ってください。もちろん、振り向かないで・・・。
東霧島神社 御朱印
東霧島神社 データ
所在 | 宮崎県都城市高崎町東霧島1560 |
主祭神 | 伊弉諾尊 |
旧社格 | 県社 |
創建 | 第五代孝昭の御代 |
例祭 | 三月二十一日(春分の日) |
メモ | 霧島六権現 振り向かずの坂伝説 神石伝説 故有谷の泪雨伝説 |