鹿児島県には日本百名山の山が三つあります。霧島山、開聞岳、宮之浦岳です。それぞれに魅力的な山ですが、まず霧島山の紹介から始めましょう。
霧島山の盟主は高千穂峰
霧島山は特定の山の名称ではありません。霧島山とは20余にものぼる霧島連山の総称です。深田久弥は霧島の山々の盟主として高千穂峰(たかちほのみね)をあげています。たしかに天を刺すような急峻な山頂と両翼を広げたような尾根の広がりは、霧島連山を代表する山に相応しい威容です。
霧島山の最高峰は韓国岳
霧島連山で一番高いのは標高1700mの韓国岳です。高千穂峰は1574mです。深田久弥の本では霧島山の盟主として高千穂峰を紹介しながら標高を1700mと記しているので勘違いされている方も多いかもしれません。
霧島連山で一番の人気ルートは霧島縦走路でした。過去形で書くのは今は通れないルートだからです。霧島縦走路はえびの高原から韓国岳、獅子戸岳、新燃岳、中岳と縦走し高千穂河原にいたる縦走ルートです。しかし平成23年に新燃岳の噴火があり、今もって新燃岳火口周辺は立ち入り禁止になっています。新燃岳は縦走路の中央に位置しているので、当然ながら縦走を行うことはできません。
霧島山の人気コース
縦走を行うことはできませんが、新燃岳以外の山々に登る事はできます。
・韓国岳(1700m)
えびの高原から1時間から2時間程度で登ることが出来ます。えびの高原の標高が1000mくらいあるので標高差700mくらいです。登山道も整備されており手軽の登ることが出来ます。山頂からは霧島連山を一望することができます。
・高千穂峰(1574m)
霧島連山の盟主ともいえる山です。天孫降臨の神話の舞台となった山です。山頂には天の逆鉾があり坂本龍馬がその逆鉾を抜いてみたという手紙が残っています。
霧島連山の山々の中では珍しく樹木がない山です。とくに高千穂河原からの登り始めはガレ場で足元が悪いです。山頂手前にはお鉢と呼ばれる火口があり、今でも煙を上げています。高千穂峰には宮崎県側からのルートも複数あり、いろいろと楽しめる山です。私は登るよりも見る方が好きです。矢岳あたりからみる高千穂峰は両翼を広げた鷲のようでもあり好きな風景です。
・大浪池(1412m)
池とありますが大浪池も火口湖であり立派な山です。登るのには30分から1時間程度でしょうか。登山道も整備されており家族連れでハイキングする姿を見かけます。池の周囲は2kmくらいあり1時間弱で回ることが出来ます。
大浪池から韓国岳へ登るルートもありますが、こちらは随分と急登にになります。
他にも色々と紹介したい山々を表にまとめてみました。ちなみに私の好きな山は甑岳です。火口に降りることが出来る数少ない山です。その火口は草原と小さな池があります。
名称 | 標高 | メ モ |
韓国岳 | 1700m | 霧島連山の最高峰 |
えびの高原ルート | 一般的なルート、登山道は整備されている | |
大浪池ルート | 大浪池からのルートで急登 | |
獅子戸岳ルート | 逆縦走時に高千穂河原側から登って来るルート、新燃岳周辺が入山禁止 | |
火口周遊 | 山頂から火口縁を反対側に回っていくと火口におりられる場所がある | |
高千穂峰 | 1574m | 霧島連山の盟主的山、ガレ場が多い |
お鉢 | 高千穂峰山頂下の火口、今も噴煙をあげている | |
馬の背 | お鉢から山頂へ向かう際に通る火口縁の細い部分 | |
天の逆鉾 | 高千穂峰山頂に逆さまにさしてある鉾、霧島東神社の社宝 | |
二ツ石 | 宮崎県側からのルート途中にある峰、何処から見ても二つの岩に見えることから | |
高千穂河原ルート | 高千穂河原から登る一般的なルート、ガレ場多し | |
東神社ルート | 宮崎県側の霧島東神社境内から登るルート、一番長いルート、森を抜ける | |
皇子原ルート | 宮崎県側の皇子原からのルート、天孫降臨ルートとも呼ばれる、森を抜ける | |
御池ルート | 宮崎県側の御池小学校近くからのルート、森を抜ける | |
獅子戸岳 | 1428m | 韓国岳と新燃岳の間の山で縦走路上にある |
新燃岳 | 1421m | 縦走路上の山だが噴火後入山禁止になっている。かっては美しい火口湖があった |
中岳 | 1332m | 縦走路上の山。ここからの高千穂峰は絶景。麓にミヤマキリシマの散策路がある |
硫黄岳 | 1310m | 韓国岳登山口付近にある小さな山、大山れんげの自生地 |
白鳥山 | 1363m | 北東部の山で池めぐりルートから登れる、麓に白紫池、六観音御池が広がる |
甑岳 | 1301m | 韓国岳北方の山、台形の山形が特徴的、火口に降りられる、急登 |
矢岳 | 1132m | 高千穂峰北方の山、ここからの高千穂峰は絶景、ヤマボウシなど花木が豊富 |
竜王山 | 1175m | 矢岳と対をなす山 |
炭化木 | 竜王山麓の沢にかっての噴火で炭化した樹木が露出してるところがある | |
大幡山 | 1230m | 新燃岳北方の山、山頂がはっきりしない、山麓の崩壊がみられる |
膳棚 | 大幡山の山麓に冬になると氷瀑があらわる | |
大幡池 | 大幡山北方の火山湖、湖畔まで降りることが出来る、宮崎県側ルートあり | |
丸岡山 | 大幡池、夷守岳の間にある小高い山だが山頂に樹木があり展望が良くない | |
夷守岳 | 1344m | 北端の山で生駒富士とも呼ばれ姿良し、急登 |
栗野岳 | 1094m | 西端の山、森の中を抜けて登る、麓に温泉、美術館などあり |
えびの岳 | 1292m | 白鳥山の西にある山だがルートがわかりにくい |
烏帽子岳 | 988m | 南側にある山で新湯温泉入り口から登る |
池めぐり | えびの高原周辺の池を廻るコース、結構アップダウンがあるが良いハイキングコース | |
えびの高原 | 宮崎県側の拠点、縦走路起点で韓国岳登山口、駐車場、ビジターセンターあり | |
高千穂河原 | 鹿児島県側の拠点、縦走路終点、高千穂峰登山口、駐車場、ビジターセンターあり | |
山の花々 | ||
ミヤマキリシマ | 霧島全域でみられる。5、6月頃、中岳麓に散策路あり | |
マンサク | 大浪池に群生する黄色い花、3月頃 | |
ジロモジ | 霧島全域でみられる黄色い花、5,6月頃 | |
霧島ミズキ | 霧島全域でみあれる黄色い房花、5,6月頃 | |
ノカイドウ | 霧島固有種、えびの高原で5月連休頃 | |
オオヤマレンゲ | モクレン科の白い花、硫黄山、大浪池で見られる | |
ヤマボウシ | 矢岳に多い、霧島の夏を彩る白い花 | |
見返り草 | 矢岳に群生、紫色の花、9月頃 |