テンナンショウの紹介です。ちょっと山手の方に入ると良く見かけます。私は、その独特な花の形が気に入っていますが、その形が不気味だという方も多い花です。
テンナンショウは山の暗いところに咲いていたりして、その不気味さから蛇草などといっておりました。本名はマムシグザ、こちらの方がよっぽど不気味。
サトイモ科で漢字で書くと「天南星」、こちらはとっても素敵な感じです。
テンナンショウは幼い頃は1本の筒状のものが延びています。ちょっと独特な誕生のしかたです。
それが割れるように葉が出てきて、あの特徴的な花が咲きます。
仏炎苞と言うんだそうです。
なんだかありがたそうな名前です。
花がおわると、これまた印象的な実をつけます。赤いボツボツがいっぱいついたトウモロコシ風の実です。
なんとも最初から最後まで印象的な花です。
しかも・・・、雌雄異株で栄養状態によって性転換するとか。
このあたりで見たことがあるのは、ヒトツバテンナンショウ、キリシマテンナンショウ、ツクシヒトツバテンナンショウ です。
ヒトツバテンナンショウは、よく見かけます。
その花は鮮やかな緑色に白い筋の入っているものが多くて綺麗です。
仏炎苞の蓋の部分をめくって覗くと棒状のものが・・・。
ちょっと秘密の部屋を覗いてしまったような気分です。
キリシマテンナンショウは霧島の名を頂いた妖艶な花です。
花は濃い紫・・・というよりも殆ど黒いろの花です。
ちょっと触るのには勇気がいりそうな感じです。
霧島ではヒトツバテンナンショウほどではないですがよく見かけます。
ツクシヒトツバテンナンショウというやたらと長い名前の花は高隈山系で見かけました。
こちらで見かけたものは淵が赤い感じの小さめの花でした。
この色合いは固体の変異かもしれません。
ところで、この花の紹介を他で見ていたら面白いことが書いてありました。
まず、あの独特の形の花ですが、あそこに虫が入っていくと上の方からは出られなくなるんだそうです。
テンナンショウは雌雄異株と紹介しましたよね。
それじゃぁ、雌花に花粉を届けられないじゃん。
でも、雄花の下の方には隙間があって虫が脱出できるようになっているんだそうです。
花に捉えられた虫がじたばたして、花粉を一杯くっつけてようやく脱出するとか。
そして、雌花にはその穴がない。
つまり、虫はそこで終りとなるのです。
その可愛そうな虫たちの中に、やっとの事で雄花を抜け出して来た虫がいたら受粉は成り立つとか。
なんとも・・・。
一抹の情けをかける男と容赦のない女・・・、いやいや、これは男の論理。
妖艶な花に吸い寄せられる男は、いずれ取り込まれることになるのでしょう。
わたしも、もう随分まえから・・・。
テンナンショウ データ
日本名 | ヒトツバテンナンショウ(一つ葉天南星) |
場所 | 霧島山系全域で見ることができます |
時期 | 5月~6月 |
学名 | Arisaema monophyllum Nakai |
科名 | サトイモ科テンナンショウ属 |
メモ | 仏炎苞の内面に八の字形の濃紫色の斑紋 |
日本名 | キリシマテンナンショウ(霧島天南星) |
場所 | 霧島山系全域で見ることができます |
時期 | 5月~6月 |
学名 | Arisaema sazensoo (Bl.) Makino |
科名 | サトイモ科テンナンショウ属 |
メモ | 別名:ヒメテンナンショウ |
日本名 | ツクシヒトツバテンナンショウ(筑紫一つ葉天南星) |
場所 | 高隈山系で見かけました |
時期 | 5月~6月 |
学名 | Arisaema tashiroi M. Hotta |
科名 | サトイモ科テンナンショウ属 |
メモ | 花の背側に白斑 |