私の住む鹿児島では酒と言えば焼酎です。日本酒を飲みたいときは「酒」ではなくて、「日本酒」と注文しないといけません。そんな焼酎王国では焼酎の飲み方もまた煩い人が多いのです。
宴会の席では新入社員などが焼酎係としてお湯割りセットの前でスタンバイしている姿をよく見かけます。そういうことは率先して行うことが先輩方のおぼえよく可愛がってもらえるのです。しかし、間違えるとこっぴどく怒られます。
お湯割りはお湯が先
お湯割りはお湯を先につがないといけません。間違ったら怒られます。そして蘊蓄を聞かされるはめになります。
お湯割りグラスの下に暖かいお湯をいれて、上から冷たい焼酎をつぐ。そうすることで対流によって良いぐあいに混ざっていく。
もっともらし説明です。お湯割りセットには、マドラーなんて品の良い物はついてこないので、このような習慣になったのかもしれません。どちらでも良いような気がしますが、私も長年の習慣でお湯から注ぎます。対流云々はともかく、お湯の上から焼酎を注ぐと芋の香りが立ち上がり、鼻腔を心地よくくすぐってくれます。芋の匂いが苦手な人は焼酎から注いだ方が良いかもしれません。
ロクヨンはお湯がロク
次に覚えないといけないのは割合です。焼酎のお湯割りはロクヨンと言われます。ロクがお湯でヨンが焼酎です。お湯:焼酎が6:4ということですね。これが基本です。しかし、先輩方の好みは様々です。豪快に逆ロクヨンという人もいれば、薄めにハチニィなどと注文があります。それぞれの先輩方の好みを覚えていて、お代わりの時は好みの濃さでお持ちしないといけません。
そのため、お湯割りグラスには目盛りがついています。ゴウゴ、ロクヨン、ナナサンなどの目盛りまでお湯を注いだあと、グラスの上まで焼酎を注げば先輩方の覚えもめでたいという事になります。
銘柄によってお湯割り向きと水割り向きが
冬はお湯割りで飲むのが身も心も暖まって美味しいですが、実は焼酎の銘柄によってお湯割り向き、水割り向きなどがあります。
鹿児島人は芋の風味がしっかりした焼酎が好きですが、このような無骨な焼酎はお湯割りが向いています。お湯の熱気で芋の風味が立ち上がります。芋独特の甘い味わいを堪能することができます。
最近は芋臭さをおさえた焼酎が人気です。プレミア焼酎と言われている焼酎の多くが、そんな都会的な焼酎たちです。このような焼酎は水割りやロックが美味しいです。あっさりとした飲み口で楽しめます。
焼酎のシロとクロとは
焼酎にはシロとクロがあります。これは白麹仕込み、黒麹仕込みということで麹菌の違いを表しています。同じ銘柄で白・黒と分けているものもありますね。佐藤酒造さんの「佐藤」は白麹仕込みと黒麹仕込みがあります。ラベルも同じデザインで白、黒のリバースになっています。「佐藤」の場合は黒麹仕込みの方が人気のようですが、私は白麹仕込みの方が好きです。私はシロはお湯割りで飲みます。クロは水割りですね。同じ蔵元でも麹によって随分と味わいが違ってきますので飲み比べてみると面白いですよ。
以上、焼酎のお湯わりについてのお話でした。
焼酎について語りだすと長くなります。焼酎の美味しい飲み方、蘊蓄、銘柄のことなど、おいおいと紹介して行きたいと思います。